中華DDSの実験 LPF編
AD9850と出力の間にはローパスフィルターが入っている
設計上は約70MHzのローパスフィルターとなっているが実際に実験してみると20MHzぐらいから減衰し始めているようだ
そこでフィルターの特性を測定してみた
測定端子を付けるためにAD9850チップと終端抵抗を(入出力とも)取り外した。
そこにSMAコネクターを取り付けた。間に付いている抵抗はLPFのインピーダンス200Ωと測定器のインピーダンスのマッチング用
出力側も基板の出力端子から同じようにマッチング抵抗を介してスペアナにつないだ
試験基板の外観
こうして測定したのが下の波形
〜100MHz
〜200MHz
〜1GHz
減衰域は110MHz付近のピークがちょっと気になる
通過領域は60から70MHzくらいだがフラットなところがなくだらだらとさがっているようです。
これはたぶんLPFに使われているチップLCの性能が良くないものと思う
LPFの試作
基板内のローパスフィルターでもそれなりに使用できるのだが特性があまり良くないのでユニバーサルでローパスフィルターを試作してみた
試作ローパスフィルターの回路図
外観 コンデンサはチップコンデンサ、 コイルはT30-6トロイダルに0.3mmのポリウレタン線を巻いた
特に調整はなしで回路図通り組み立てただけ
周波数特性
〜200MHz
〜1GHz
計算通りちょうど60MHzのローパスフィルターになっている。200MHz迄の特性は上のフィルターよりは改善しているが
まだ通過帯域で高域が減衰ぎみである
これは設計の問題か部品の問題かもう少し検討が必要
周波数が高いところで性能が良くないのはシールドができていないせいです。
500MHz以上では手を近づけただけで性能がころころ変わります。
上の回路で通過帯域が高域で減衰する件でいろいろ試してみたのですが部品を交換してもそれほど変化はありませんでした
いままでは測定器が75Ωでフィルターが200Ωなので抵抗を入れて簡易にマッチングしていたのですが
抵抗一本だと信号の通過方向にはマッチングがとれても反射方向のマッチングはとれていません
そこで両方にマッチングがとれるように抵抗2本のL型マッチング回路に変更してみました
結果は通過特性はかなり改善しました
減衰の原因はインピーダンスのミスマッチでフィルターが設計通りの動作をしていなかったことのようです。
まだ少しその傾向がありますがこれはたぶん抵抗に手持ちにあった近い値のものを使っているのでその誤差によるものと思います。
減衰特性は少し悪化していますがもう少し検討しないといけないようです
これまでの実験で気が付いたのは
出力にすでに200Ωのチップ抵抗が付いているので負荷は高インピーダンスで受けないとインピーダンスマッチングがとれません
フィルターはマッチングがとれていないと期待した特性にならないのでこれは大切です。
50Ωで出力するにはR7の200Ωを取り外して(R9の200ΩはAD9850の負荷になるので取り外してはいけません)
抵抗またはトランスでインピーダンスマッチングする必要があります。
トランスでマッチングするときは必ずコンデンサ等で直流カットしてください そうしないとAD9850の出力DCでグラウンドとショート状態になります。
おまけ
最後に確認のためにチップコンデンサをトロイダルに巻いたコイルに換えてみた
使用したコアはT25-6 AL値が27 巻き数は390nHが12回、470nHが14回
特性データは取っていないがDDSモジュールの出力レベルがオリジナルのままだと20MHzから下がり始め40MHzではかなり減衰があったが
40MHz迄はほぼフラットに出るようになった
コンデンサは他のものに換えても余り変化がなかった
やはりコイルが大切なようでトロイダルは やりすぎな感じがしますが高周波用の高Qなチップコイルを選べば特性が改善するのではと思います。
ご意見、ご質問等はこちらまで。
メニューへ